令和元年最終講座

                  令和元年12月13日 金曜日

 

●午前くらしの中の建築』 摂南大学名誉教授 博士(工学) 佐野 潤一 講師

主題「くらしの中の建築」の副題「目からウロコ!」で、

始まりました。

1)形・・・日本の住まいの「かたち」を決めたもの

日本は雨量が多いため、勾配のきつい茅葺屋根と深い庇を考案しました。また湿度が高いため、床は通風を良くするように高くし、そして春・夏・秋・冬の季節の対策として、開口部で調整するように考えたようです。

 

 

 

これら日本の特徴は、タイ国の建屋と非常に似たところがあります。タイ国も、高温・多湿・多雨・洪水のために、勾配きつい屋根・高床・広い開口部など、日本と多くの共通点があります。

 

対照的なのは、気候が全く異なるモーリタニア(アフリカ北西部に位置)は砂漠・高温、砂嵐があり、そのために建屋は低く屋根は、フラットです。開口部が少なく、高温を遮断するために、レンガ壁になっています。

 

 

私たちのご先祖は、日本の気候風土に対抗するのではなく、考え工夫・細工して風土と仲良く付き合いながら、生活を編み出してきたのだと思います。私見ですが、その昔の西洋は、日常生活で一番の問題点は、外敵(多民族)から身を守ることにあったのではと考えます。それで、火災や弓矢・投擲武器を防ぐため、煉瓦造が多くなったのでは?

昔の建物は日本の風土にかなった建物でしたね!しかしながら、これから大気汚染対策への空調設備(冷房・暖房)完備などを考えると、近未来の日本家屋は、屋根も庇も窓もない宇宙基地のようなチューブ型建物になるのではないでしょうか。但し安全・完璧なインフラ(電気・水)があっての話ですがね!

比較的温度の安定した地中に住むのもありかも知れませんね。



●午後・身近な木のあれこれ『萬葉の植物たち』 NPO みどり・樹木と杜の診断協会 樹木医 浅川 充 講師

令和を寿ぐ花 

初春の「令」月にして、気淑く風「和」らぎ、は鏡前の粉を披き、は、はい後の香を薫らす

(万葉集巻五 梅花 32序文)

時は初春のよい月であり、空気は美しく風は和やかで、は鏡の前の美人が白粉で装うように花咲き、身を飾る衣に纏わる香のように薫らせる。

萬葉集には4516首の歌が収録させており、そのうち1700余首に植物が詠みこまれています。そしてその中で樹木は66種類が詠まれており、一番多いのは「はぎ」の142首、2番目が「梅」で119首、因みに「桜」は9番目で47首であります。奈良時代は「梅」が花見の主役だったようです。

 

 

梅の歴史・・・梅の渡来時期は700年前後、遣唐使(630~894)が中国から持ち帰えり、それは白梅でした。

萬葉集に詠まれた主な樹木たち            出典:萬葉植物事典

いま「梅」、「桜」が危ない‼

梅・桜は言うに及ばず、スモモ・桃・の樹木を食い荒らす害虫!                     特定外来生物 クビアカツヤカミキリムシが発生し、桜を枯らす‼ 年々被害樹種や地域が拡大しています

特徴は首の回りが赤く、下記写真の左が雄でひげが長くしっぽが平、右は雌でひげが短くしっぽが尖っています